意表を突く奇策が「ユタカマジック」と呼ばれることもあるけれど、
やはり武豊騎手の真骨頂は「強い馬で強い競馬をすること」に尽きる。
G1初参戦、コース未経験という不安材料を抱えながら、
堂々の逃げ切りでインティをG1タイトルへ導いたその騎乗は、王道を極めるという表現がふさわしい。

● 2019年2月17日/東京11R:フェブラリーS
□ レース結果 (netkeiba.com)
予想エントリ:【予想■フェブラリーS】空気を読むな! ◎サンライズソア

最大の懸案事項は、キャリアの浅さや未完成ぶりが仇になって、
初めての東京ダート1600m戦で流れに乗れずに終わることだった。
しかし、数々の修羅場を勝ち抜いてきた鞍上はそんな下手を打たない。
ソツなくスタートを決めると、同型の様子をうかがいながら迷わずハナを主張。
完全に主導権を握るとペースを落とし、しっかり息が入ったところでスパート開始。
直線半ばでセーフティリードを取って、後続を振り切る完勝である。

最近ではキタサンブラックとのコンビで何度も見てきた場面だが、
こういった前に行って強い馬の持ち味を発揮させる技術とメンタルは、
ルメールやミルコらと比べても遜色ないどころか未だに国内最強ではないだろうか。
20歳そこらでメジロマックイーンの主戦を務めるなど、
踏んできた舞台が他のジョッキーとはまるで違うのだから当然といえば当然だが。

藤田菜七子騎手のG1初騎乗で注目が集まる一戦で、
その凄みを改めて見せるのも、そういう運命で生きている人なんだろうなと。


● インティとかいう未勝利から7連勝で頂点にたどり着いた怪物
初めてのG1でこの競馬をやってのけた▲インティもとんでもない怪物である。
これで未勝利からノンストップの7連勝でダートの頂点に。
芝スタートもワンターンも全く問題なくこなし、
鞍上の意のままに道中でペースをコントロールする術も身に付けつつある。
気安くこの名前を出すのはタブーかもしれないが、
この粗削りな素材が研ぎ澄まされていく過程はサイレンススズカを思い出さないかね。

今回はルヴァンスレーヴが不在だったが、
そんなこともすっかり忘れてしまうほどのインパクト。
きっと彼が無事に出ていても簡単に遅れを取ったとは思えないし、
いつか互いに万全の状態で直接対決する日が来ることを楽しみに待ちたい。

● 主導権を渡しながら猛然と差を詰めたゴールドドリームの意地
為す術なく後続勢が突き離されていく中、
ただ一頭だけ猛然と差を詰めにかかった◯ゴールドドリームの意地。
切れ味勝負は苦手ではないとはいえ、
長きにわたってダート界のトップを走り続ける決め脚は健在だった。
まだまだ勝負付けは済んではいないし、
ルヴァンスレーヴも交えて3頭の激突が見たい。
それぞれの主戦がその背にいれば最高の構図。

● ただの盛り上げ役では終わらなかったコパノキッキング
注目の×コパノキッキングは、大外から追い込むも届かず5着。
早々に前とは離れてしまい、勝敗を争う見せ場には乏しかったが、
それでも人馬ともに経験が浅い中で掲示板を確保。
ただの盛り上げ役では終わらなかった。
これでもし序盤からガツンと引っかかって逆噴射とかだったら(ノ∀`)アチャーだったので、
勝ち負けは置いといてとりあえず持ち味を発揮できてホッとした。

このコンビのおかげでフェブラリーSは売上・入場者数とも大幅アップを叩き出したが、
じゃあまた彼女がG1に乗ればこの熱量は維持できるかというほど単純なものでもなく、
やはりそれなりに勝機のある馬でないとここまでの効果は期待できないはず。
そういう意味でも今回の設定は非常に絶妙なところであった。

次はいつどこで誰が。



● 以下ひとことメモ
・ 3着 ×ユラノト
前2頭とは4馬身も離されての3着。
この馬の立ち回りの巧さが活きたように、
レース全体の負荷は軽いものだったと思われる。
G1でも通用した、という認定はちょっと早計かも。
しかし、いかにも福永騎手らしい伏兵での3着ゲット。誉めてる。

・ 4着 ×モーニン
和田再生工場、3年前のチャンプで善戦。
こちらは逆にもうちょっと流れてほしかった派か。
ただ、それならそれで他の馬の決め脚に屈していたかもしれずもどかしい。

・ 6着 ◎サンライズソア
昨日も書いた通り、
あのペースを番手で追走してあっさりついて行けなかったあたり、
コンディション面に問題があったとしか思えない。
チャンピオンズCで35秒台の上がりもマークしているので、切れ負けとも考えづらく。
1週前追い切りで好時計をマークするなど状態は良さそうだったが、
肝心のところで崩れてしまうあたり、
こう言っちゃアレだが厩舎の力に限界を感じる一戦だったかもしれない。
もちろんこの馬はまだどこかでチャンスはあるだろうけど。

・ 10着 ☆オメガパフューム
この馬がこんな凡走しちゃうのも競馬の恐ろしさ。
確かにタフなレースが向くのは確かだが、直線に入って早々と脱落してしまうとは。
外からノンコノユメに被された時にスイッチが入ってしまったとのことだが、
だとすればもうちょい経験を積む必要がありそう。

● 馬券が当たらなかったことを除けば本当に見応えあるレースでした
いつものことながら、
せっかくのいいレースだったのに馬券のせいで余韻がイマイチなのどうにかしてほしいw

・ あれこれ考えている前夜は楽しいが
190217_TKY11A
190217_TKY11B
190217_TKY11C
190217_TKY11D
190217_TKY11E
190217_TKY11F
190217_TKY11G
190217_TKY11H

今年はここまで公式戦も練習試合も含め一度も当たっていない。
もう2月も終わってしまいますよ。こんなの記憶にない。
【回収:0円/投資:4,000円】

などと景気の悪い話をしながら華々しさ満点のフェブラリーS2019を締めくくる。