06年春の天皇賞で、
ディープインパクトが生涯最高のパフォーマンスを発揮してから11年。
再び京都の3200mでとんでもない強さを見せた日本最強の名馬が、
フランスへの想いを燃えたぎらせてくれることになった。

■世界規格の衝撃。≪天皇賞回顧≫ (2006年5月1日)

今回のタイトルは11年前のエントリからのオマージュであるw

ディープインパクトと比肩するだけのスーパーホースは、
時を経てその兄ブラックタイドから生まれた。
本当に強かったキタサンブラック。黒い衝撃。
さすがは伝説のスーパーなんちゃらですわ。


● 2017年4月30日/京都11R:天皇賞
□ レース結果 (netkeiba.com)
予想エントリ: 【複コロ■天皇賞】伝説の超キタサンブラック

● 戦前の評価
有馬記念の再戦。
キタサンブラックとサトノダイヤモンドの「2強」対決。
単勝1番人気に支持されたのは、
連覇と雪辱を目指すキタサンブラックの方だった(2.2倍)。
サトノダイヤモンド(2.5倍)は負かした相手に1番人気の座を譲ることになったが、
これはとにかく枠順によるところが大きい。

離れた3番人気は未知の大砲シャケトラ。
連複系では長距離の安定株シュヴァルグランが支持を集めた。
以下、ゴールドアクター、アルバート、レインボーラインが単勝20倍台で続き、
皐月賞馬ディーマジェスティは8番人気。
ここから大きく離れてトーセンバジルがもう80倍近いオッズに。

馬連3-15は最終的に2.5倍。
これだけでは手も足も出ない組合せに映る一方、
3連系の馬券はそれなりに散らばっており、
馬券のアプローチは各自で色々と切り口があったのではないかと思われる。

● 展開とラップタイム
高速馬場での大逃げハイペース、そしてスーパーレコード決着。

<ラップタイム>
12.9 - 11.5 - 11.2 - 11.3 - 11.4 -
11.6 - 11.6 - 13.0 - 12.5 - 12.7 - 12.6 -
12.5 - 12.2 - 11.6 - 11.7 - 12.2
= 192.5 (av. 12.0)

大外からヤマカツライデンが飛ばす展開。
単騎で行くのは想定通りだったが、前半1000m58.3秒とは。
番手を追走したキタサンブラックは、
先頭から約2秒遅れてチェックポイントを通過しており、
それでも平均からやや速いペースを刻んでゆく。

2周目バックストレッチでようやく息が入り、
坂の下りから再びペースが上がるラップ構成。

キタサンブラックの刻んだラップをだいたいで書くと、
[60-72-60]と見事に均された数字。
これは武豊騎手の成す業でもあり、
馬自身がレースを知り尽くしている証でもある。

後続に目をやると、
出遅れたシャケトラがすかさず挽回して好位を確保。
シュヴァルグランもキタサンブラックを射程圏に入れながら追走する。
そして外枠からのレース運びが注目されたサトノダイヤモンドは、
ロスなく中団を確保。
外3頭目くらいで距離損を最小限にとどめながら仕掛けどころをうかがう。
ディーマジェスティ、出遅れたゴールドアクターは後方から。
決め打ちレインボーラインも最後方で前崩れを待つ。

● 直線の攻防
坂の下りでキタサンブラックが持ったままでジワジワと進出。
他の先行馬が手応えを失くす中、スイスイとヤマカツライデンも飲み込んでゆく。
ついてくるのはシュヴァルグラン、
サトノダイヤモンドも勝負どころと見てスパートを開始する。
内で食い下がるのはアドマイヤデウス。
この高速決着では後ろからは何も来ない。

直線入口でキタサンブラックが2馬身のリード。
懸命にシュヴァルグランが食い下がる一方、
サトノダイヤモンドは追い出されてからジリジリとしか伸びない。
残り200mは全馬脚色が同じでキタサンブラックはセーフティリード、
2着争いはシュヴァルグランが優勢、
サトノダイヤモンドはアドマイヤデウスとの3着争いが精一杯に。

死力を尽くした決戦は、キタサンブラックの「圧勝」で幕を閉じた。

● まさに盤石キタサンブラック、世界制覇へ夢が膨らむ勝利
盤石の◎キタサンブラック
有馬記念で敗れたのがウソのような圧勝だった。
決して3200mがピッタリというわけではないと思うのだが、
自分の形に持ち込んでしまえば彼の舞台。
これでG1は5勝目、勝つたびに強さが際立ってくる。

まあ、最初の1000mで勝負アリでしたね。
好発を決めてヤマカツライデンを行かせると、単独で2番手を確保。
武豊騎手もソツがない。
ゲートを出ると他馬がインを取りにかかるところを、あえて外へと誘導。
こうすることで包まれるリスクを回避し、
キタサンブラックの「勝ちパ」へと持ち込んだ。
誰が乗っても勝てそうな強さを見せつつ、
最悪の形に持ち込ませない騎乗のさりげなさ。すばら。

「凱旋門賞?行けたら行くわ」なスタンスだったオーナーサイドも、
さすがにこれだけ強いと重い腰を上げざるを得ない模様。
そもそも渋っているのもエンターテイナー流の演出なのかもしれんけどw

純粋に強いだけでなく、
加えて肉体的精神的なタフさが備わっているのが大きな武器。
そして日本馬特有の「じっくりタメて末脚勝負」ではなく、
自分から主導権を握って動けるタイプであることが、
悲願達成への夢を膨らませてくれる。

● サトノダイヤモンドは完敗、タイトな展開で末脚を削られる
対象的にサトノダイヤモンドは完敗。
シュヴァルグランとの2着争いに敗れ、
あわやアドマイヤデウスに3着を譲るところであった。
4角手前からいつも通りにスパートを開始したものの、
追い出されてから弾ける伸びがない。
これだけ苦しんでいるサトノダイヤモンドを見たのは初めてだった。

敗因は枠順、と言いたいところだが、
ルメールも池江調教師も語った通り力負けを認めなければならない。
ピンク帽スタートでも鞍上はロスなく乗っていた。
折り合いにも問題はなく、
距離自体もこなせる範囲だったとは思うが、
これだけ平均的に速いラップが続くと、本質的な距離適性が問われる。
少なくとも2着争いについては、
「こなせる」と「得意」の差が出たと感じる。

それだけにこの敗戦も彼の価値を落とすものではない。
むしろ、見せ場なく敗れることの多かった4歳のエースが、
最低限の3着を確保した点は評価すべきでは。
「フランスの2400mを勝つには3200mも走れないと」という声もごもっともだが、
この日はペースからしてあまりにも条件が酷すぎた。

● その他ひとことメモ
・ 2着 シュヴァルグラン
最高の競馬をしたし、そして完敗でもあった。
これ以上は求めまい。
他のG1でのパフォーマンスと比較しても、
長い距離が合うのは明らか。
それだけに年イチの大チャンスをモノにできないのはもどかしい。
来年こそはという話になるのか、あるいは海外に目を向けるか。

・ 4着 アドマイヤデウス
「G2まで安定、G1では出番なし」という、ヤマカツエースの長距離版が意地を見せた。
ゴール前まで3着争いに食い下がり、
あともうちょっと頑張れば波乱の主役になれたところ。惜しい。

・ 5着 アルバート
アドマイヤドン産駒2頭が掲示板キープという頑張り。
こちらもシュヴァルグラン同様、
どこでビッグタイトル獲得のチャンスをモノにするか。

・ 7着 ゴールドアクター
パドックではまずまず落ち着きを見せていたが、痛恨の出遅れ。
前付けが脅威だったが、回ってくるだけで終わった。

・ 9着 シャケトラ
こちらも出遅れ。追っつけて挽回するも引っかかってチグハグ。
初めてのG1挑戦はマンハッタンカフェ産駒らしい結末に終わった。

・ 12着 レインボーライン
後方ままで終了。
そもそもこの馬も菊花賞2着とはいえステイヤーではないはず。

● 「あわよくば」とはいかずも..複コロはきっちり成功
とりあえず複コロは成功。よかったw

・ 110円ありがとうございます
170430_KYT11

最終オッズは1.1-1.2倍。
もしアドマイヤデウスが3着だったら120円ついたのだろうかw
まあでも狙いは問題なし。
ガチガチの馬連に突っ込むよりも有意義な買い方ができたはず。

次にこれだけ安心して見ていられる馬はいるんでしょうか。

・ おまけで馬連もゲット
天皇賞

こちらは非公式戦で買ったおまけ馬券。これが当たる。

● 日本競馬最高のビッグマッチも入場者数は微減
ところで入場者数は昨年に比べて微減だったようですね。
みんなもっと見に行けばいいのに。もったいない。
月曜も祝日みたいな暦ならまた結果も違ったのでしょうか。
それでも8万人弱は動員しており、
京都競馬場の華としての面目は保ってはくれました。

大阪杯がG1になって、香港のQE2世Cともぶつかる日程の中、
メンバーの分散やらが心配されましたが、
戦前から盛り上がってよかった。楽しかったです。
毎年こうなるとは限りませんが、
今後もうまくバランスを取りながら、ね。