「執念」と「空回り」は紙一重であることを感じる小倉大賞典であつた。
ご存じのとおりこの一戦は、
定年解散直前の松田博厩舎・橋口厩舎の「有終の美」にかける意気込みと、
JRA全10場重賞制覇にリーチをかけ続ける蛯名騎手の野望が、
激しくぶつかり合う場所に。


結果は松田博厩舎のアルバートドックがゴール前の混戦を制し優勝。
4角最後方インという絶望的なポジションから、
ぽっかりと空いたラチ沿いを突いて鮮やかな追い込み勝ち。
あそこを通れるという確信はさすがになかったはずで、
思い切った策を打った川田騎手の勝利への「執念」が実を結ぶ形となった。

対照的に、どこまでもチグハグな競馬に終わってしまったのがマイネルフロスト
もともとレースが上手でソツなく好位を取れる脚があり、
小倉の舞台で単勝1番人気に支持されたのも脚質的な魅力があったことも大きかったはず。
ところがどっこい、
今回は驚くほど出脚が鈍く後方からの競馬となってしまった。
恐らく戦前のプランは大幅に狂ってしまったであろう蛯名騎手は、
さらに自らを窮地へと追い込んでいく。
スマートオリオンが警戒に飛ばす流れを、
バックストレッチからマクリ気味に押し上げる強引な策。
4角では本来いるべき場所へとたどり着いたものの、
さすがにそこから使える脚は残っておらずギブアップ。
後ろでジッとしていたところで勝ち目はなかったかもしれないが、
あのペースでマクリ気味に脚を使うとは..
通算2,400勝の大ベテランも記録の前では平常心を保つのも難しいのか。
見ていても勝ちたいという気持ちは伝わってくる、
だからこそ余計に痛切な「空回り」であった。

しかし蛯名騎手、リーチをかけてから何度かチャレンジしてません?
スポットで小倉に来る度に話題になってる気がするんですが。
こうなったらこの夏は思い切って小倉滞在でもしてみたらどうでしょう。