ジョッキーは基本的に「ミスを認めてはいけない」職業だと言われている。
馬の力を引き出す補助役が、
「自分が失敗した」とでも告白すればスイッチされるのは当たり前。
海外の名手ですら、それは徹底しているほど。
自分の手落ちで脚を余したとしても、
「追い出してからの反応も今ひとつ」などと馬の状態に原因を求める。

しかし、川田将雅は違う。

ダッシャーゴーゴーとのコンビで、GIで二度にわたる降着処分。
一度は2位入線、
そしてもう一度は単勝1番人気馬の進路を妨害と、
馬券を購入していたファンに多大な影響を与えた。

普通のジョッキーならば、二度と振り返りたくないような惨劇。
少なくとも、公の場で触れることなどタブーのはず。
それでも彼は敢えて、反省と謝罪の意を述べる。

「自分のことを嫌いになっても構わないが、ダッシャーゴーゴーは嫌いにならないでほしい」

そこまで馬のことを思えるからこそ、流した涙からも感動が伝わってくる。
それだけの覚悟を持って勝負に挑んでいるからこそ、
馬券を買おうという気持ちにもさせてくれる。

あとは、秋のスプリンターズSを勝つだけ。