05年のマイルCSと香港マイルを制したハットトリックが亡くなった。最期は繋養先のブラジルで息を引き取ったという。現役引退直後から海外で種牡馬入りし、G1馬ダビルシムなどを輩出するなどサンデーサイレンスの血を海外でも広めることに貢献した。

個人的には学生時代末期に活躍していた名馬だけに、思い出も数多く残っている。

まずはラジオたんぱ賞の大凡走な。東京のマイル戦でド派手に追い込んで勝った馬がいきなり福島でどう勝てと。で、気付いたら角居勝彦厩舎に転厩。今から思えばなぜ最初は清水美波厩舎だったのか謎。
そこから鞍上も武豊にスイッチし、1000万下→準OPと連勝。その流れで京都金杯に狙いを定めてきたわけだが、馬券で思い切り逆らったら痛い目に遭ったな。
ただ、どうしても不器用なタイプだけに旧阪神のマイラーズCで不発に終わるのはお見通しだった。ここはローエングリンから買ってリベンジ成功。通算成績21戦【8.0.0.13】が示す通り、ハマる条件以外では潔く負けるタイプだった。




キャリアの最盛期を迎える4歳秋だって、毎日王冠9着・天皇賞7着からのマイルCSで大激変である。今から思えば前2走は距離やら展開やらで度外視できるものだったが、何せ史上初の同一G1三連覇を目指すデュランダルがいただけに勝つのは難しかろうと..

しかしデュランダルはまさかの不発。代わりに大外一気を決めたのがハットトリックだった。

ゴール前は先に抜け出していたダイワメジャーをギリギリ交わしての勝利。この2頭の組み合わせで馬連が3,580円ついた。ピュアな青年だった当時はデュランダルの勝利を疑わなかっただけに、この決着にはただただ呆然とさせられたものだ。



そして香港マイルではその末脚が本物であることを証明する。このレースは京都競馬場のシグネットホールでみんなでぬくぬくしながらビジョン見てたな。普段はそれぞれ別々の馬を応援する競馬ファンが一つになって、この馬の勝利を喜び合った光景は今も記憶に残っている。



残念ながら5歳以降は一度も勝てないばかりか8戦続けて着外に終わったことであまりいい印象が残っていないが、それもこの馬の個性を表しているように思う。後から知ったが、キャロットCの重賞初制覇をもたらしたのがこの馬だったという。あとは角居勝彦厩舎のブレイクを後押しした一頭でもある。馬主さんにとっても調教師にとっても、後の成功を支えた功績は計り知れないものがあるだろう。



同期の日本ダービー馬キングカメハメハがこの世を去って1年。そろそろこの世代にも別れを告げる時期がやってきたか。しっかりお見送りする役割を果たしていかなければ。