2勝10敗という最悪のスタートを切った阪神タイガースが息を吹き返し、○○○○●○○●○○○○で一瞬にして5割復帰を遂げた。たかが5割でウキウキしてどうするのと言われそうだが、開幕早々に終戦を迎えそうな状況から巻き返してきた過程を楽しまずしてどうするの。
理由は色々ありますが、最大の要因は「まともに打てるようになったこと」に尽きる。負けが込んでいた時期は打線が全く機能せず、ちょっと序盤に失点しただけで「オワタ..」な雰囲気が充満していたが、今は少々のビハインドならどうにかなる感たっぷり。先週前半の東京ヤクルト戦は、1・2戦目とも初回に2失点するも中盤で追いつくことができた。

得点力回復のポイントとなったのは、何といってもボーアが長距離砲として本領を発揮し始めたのと、半信半疑ながら使い始めたサンズが中軸として十分な役割を果たしてくれている点が大きい。彼らがいなければ不調の続いていた福留孝介を引っ張り続けなければならなかったし、昨年と同様に大山悠輔に勝敗の行方を託さざるを得なかった。
とはいえ彼らも最初は苦しんだ。ボーアに関しては18-0がクローズアップされるなど、完全にハズレ扱いを受けていたし、サンズも横浜戦での逆転弾の一発屋状態で、これだけコンスタントに結果を残してくれる姿は思い浮かばなかった。今や両者ともOPS.800を越え、どこに出しても恥ずかしくない「優良助っ人」としての道を歩み始めた彼らが上昇気流に乗れたポイントはどこにあったのだろうか。



結論から書くと、ボーアもサンズも「振らない勇気」を捨てなかったのが大きかったように思う。とにかく結果が出ない時期は2人とも見逃し三振が多かった。打線が奮わない中、起爆剤としての役割を期待している外国人の消極的な姿勢は物足りなくも映ったが、最初の段階でボール球を追いかけて打撃を崩されなかったことが後のお目覚めにつながったというのは確信に近いものがある。おかげで今は誘い球にも殆ど手を出さないし、カウント有利になってストライクを取りに来たところをガツンと仕留めるもよし、四球を選んで好機を拡大するもよし。サンズに至ってはIsoDが0.1近くもあるし、ボーアもイメージほどのフリースインガータイプではなさそう。じっくり見ていくスタイルが板についてきた。

しかし停滞期はチームも結果が出ていなかったことで、評論家たちはこぞって「積極的にスイングを」と進言していたのが忘れられない。もしその通りに何でもなんでも手を出すマン化していたら今ごろロサリオのように頭ぐちゃぐちゃになっていたことだろう。逆に、その反省を踏まえて獲得したマルテが徹底的に外スラを捨てる姿勢を貫き、1年目から上々の成績を残せたことも「振らない勇気」を保つ裏付けとなったに違いない。

「お手本」となったマルテは戦線を離脱中で、ボーアも先週日曜の中日戦を欠場したのが心配だが、不振でオーダーを外れることを思えばよっぽどマシだ。幸い大山も状態が落ちそうになりながらもどうにか食いとどめているし、福留もちょうどいい依存度でスタメンで使える今なら打線の大幅な破壊力ダウンは避けられそう。

あとはこの「振らない勇気」を近本光司にも与えてやれんものか。ベース上でワンバウンドする変化球を空振りするのもう見飽きた。当たっても長打がポンポン出るタイプでもないのに、あれだけ振り回すのはどうなのか。結果が出ていれば「自分のスタイル」で貫き通すこともできるが、現状ではちょっと..
生まれ変わるチャンスだと思って、モデルチェンジにトライしてもらいたい。