絶対的な存在は、時に争いにおける楽しみを奪ってしまうのかもしれない。

ヴィクトリアマイルを楽勝し、7つ目のG1タイトルを手にしたアーモンドアイ。日本競馬史上最多となる、中央+海外を合わせた8つ目のタイトルを目指して、安田記念に参戦することが決まった。これまで間隔を開けて使われてきたアーモンドアイが中2週で出走することは異例のローテにも映るが、そこには「八冠」への強いこだわりが透けて見える。

もし安田記念をスキップしていた場合、順調ならば秋の天皇賞でその瞬間を迎えていたことだろう。しかし、万が一コンディション不良などでそこを回避した場合、確実に勝ち切れるレースが見当たらないのだ。3歳時に勝ったジャパンCは現在の気性だと克服が少し不安だし、香港に矛先を向けても今年は新型コロナウイルスの影響で遠征できるかが不明瞭。来春のドバイにおいても同様だ。それらを踏まえると、「時間の問題」に思える記録更新も実はチャンスはさほど多く残されていない。だからこそ、この安田記念で早めにケリをつけてしまいたいのだろう。

もちろんそれが可能なのは、ヴィクトリアマイルを余力たっぷりの内容で勝てたからに他ならない。「昨年のリベンジを」と強く進言したルメールもそれを意識して力を余すよう加減していたという。


どうせ楽勝でしょう、これw

インディチャンプを物差しにすればわかるが、昨年このレースであれだけ大きな不利を受けながら、ゴール前ではギリギリまで追い詰める脚を使っての3着。一方インディチャンプは最高にうまく立ち回っての勝利だった。ポテンシャルはどちらが上か、誰が見てもわかる内容だった。初対戦となるダノンキングリーやアドマイヤマーズらが、そこに待ったをかけられるほどの能力を持っているとも思えない。

日曜の東京は雨も少し心配されるが、今の東京ほど整った馬場が少し湿ったくらいでは問題になるまい。よほどのことがない限りは、昨年の雪辱を果たし新記録を樹立することだろう。

いやー、ちょっと残念だなあ。

これだけの顔ぶれなら、アーモンドアイ不在でハイレベルの混戦を楽しみたかった。昨年の春秋マイル王インディチャンプが初めてG1で1番人気を背負い「受けて立つ」立場で勝ち切れるかを見たかったし、復活した戸崎圭太と相棒ダノンキングリーが頂点に挑む構図もとてもいい。3歳で香港マイルを制する快挙を成し遂げたアドマイヤマーズも久々に出てきたし、ダミアン・レーンとの新コンビで臨むダノンプレミアムや類稀なるスピードを誇る桜花賞馬グランアレグリアも見逃せない。

ほら、こっちの方がおもしろそうやん。



馬券はROMの予定だが、ちょっと狙ってみてはどうかと思うのはノームコア。さすがにアーモンドアイには歯が立たないだろうが、2着3着なら十分に足りる。何しろ東京マイルでの走りがいいし、富士Sで牡馬相手に勝ち切れている点を高く評価したい。アーモンドアイと2頭軸の3連複などいかがでしょう。
相手は順当にインディチャンプ・ダノンキングリーが有力。高速決着のマイル戦は厳しそうなダノンプレミアムと叩き良化型のアドマイヤマーズはちょっと評価を下げてみては。