ちょうど弥生賞でサトノフラッグが勝利を飾ったのと同じくらいの時刻だった。
無観客の甲子園球場に、爽快感あふれる打球音が響いたのは。

ドラフト2位ルーキー・井上広大の、オープン戦初安打となる左越適時二塁打。


いやー、いいですね。
実戦でこれだけの打球を飛ばせる打者が今の阪神にどれだけいるか。
もちろんまだまだ覚えなければならないことだらけだろうけど、
スケールの大きさというものはどれだけ練習しても身に付かないもの。
それを彼は持っている。

正直2位で指名された時は「これはやってしまいましたなあ..」と頭を抱えたもの。
しかし今のところミーハー路線が大成功ではなかろうか。

たった一本の安打でこれだけポジらざるを得ないのも阪神ファンの悲しき性だが、
それだけ大きな「もうひとつの衝撃」だった。


普段は活気にあふれる野球場だけに、
無音での試合が新鮮に映るのは当然のことだが、
個人的には関西学生野球リーグを思い出してしまう。
恐らく100人にも満たない観客の中、
ひたすら選手の野太い声や速球がミットに収まる音、
そして快音あるいは鈍い打球音をひたすら聞いてきたあの空間が懐かしい。
悲しいかな関西の大学野球は無観客になってもほとんど影響がなさげ..

競馬も無観客2週目でもはや何の違和感もなくなってきたが、
きょうから始まった大相撲はちょっとシュール。
あの空間にお客さんがいないのは異質。
まるで無人の前で演劇が行われているかのよう。
格闘技全般に言えることかもしれんけど。

ひとくくりにスポーツといっても、
ジャンルによって観客の有無がもたらす変化が違うことを知る2020年の春である。

そんなことは知りたくなかったので早くいつもの日常が戻ってきてほしい。