ついにこの日を迎えることができた。
福永祐一騎手のもとに、ダービージョッキーの称号が。
ゴールの瞬間からウイニングラン、勝利騎手インタビューまでの一連の流れを見ながら、
心の底から「ああよかったなあ」と感動に浸ることができた。
またひとつ、人のドラマが完結。
これこそ現代日本競馬の華である。

● 2018年5月27日/東京10R:日本ダービー
□ レース結果 (netkeiba.com)
予想エントリ:【予想■日本ダービー】頂点への道は険しくとも◎ゴーフォザサミット

福永洋一さんの思いがどうの、
キングヘイローやワールドエース、エピファネイアの無念がどうのという、
語り尽くされた話に追随するつもりはなく、
この勝利で一番の意義は「福永騎手の好騎乗で△ワグネリアンを勝たせたこと」に尽きる。
能力的にズバ抜けた馬で楽勝して「勝つ時はこんなもんですね」なんてシナリオには恵まれず、
皐月賞の屈辱に耐え、
そしてピンク帽の不運を攻めの先行策で乗り越えたところを強調したい。


● 攻めの騎乗は皐月賞を「捨てた」ことから始まった
この一世一代の好騎乗の出発点は、皐月賞を「捨てた」ことにある。
明らかに不向きなあのレースで限界まで仕上げ、
なおかつ強引にポジションを取りに行く競馬をしていたら、
まず間違いなく今回は折り合いを難しくしていただろう。
陣営も鞍上も、敗戦の屈辱を甘んじて受け入れる覚悟で「捨てた」皐月賞。
その判断は正解だった。

それにしてもこんなカンペキな脚質転換に成功するとはなあ..w
予想の段階でワグネリアン自身の巻き返しは十分に想像ができたが、
近年の日本ダービーにおける直線一気の難しさは説明するまでもなく、
福永騎手が「この馬のスタイルを」とまた追い込みにかけるのならば、
いつもの繰り返しなのではという判断に至ってしまった。
きっと後ろでジッとしていたら、また勝てないタイムリープに迷い込んでいただろう。

● 殊勲のワグネリアン、その将来は
決して恵まれたとは言えない体格、目一杯の仕上げ、
そしてスタイルを崩し手でも勝ちに行ったレース内容。
何もかもがワグネリアンの限界を超えた勝利に映った。
日本ダービーの勝ち馬はその後、燃え尽きたように不振に陥ることがあるが、
そのパターンに突入してしまいそうで今から不安である。
ただ、たとえそうなったとしてもこの馬の殊勲は永遠に語り継がれるものであるし、
余計なことだがその方がカッコいいかもしれないとさえ思う。

● ダノンプレミアムの危うさを見破る感性について
一方、断然の1番人気に支持された△ダノンプレミアムは6着に終わった。
心配されたイレ込みや力みは最小限に留められていたように見えたが、
だからこそ「普通に負けてしまった」という印象が強い。
個人的には何の不思議もないし、
むしろここまで支持が集中したことの方が不思議である。
この危うさを見破る感性はどれくらいの値打ちがあるのだろう。
まあ、それだけでは馬券の的中には結びつかないこともわかっているけど。

● 期待のゴーフォザサミットは及ばず7着まで
上位争いを期待した◎ゴーフォザサミットは及ばず7着に敗れた。
1角でインを取り切ったのはよかったが、
その後にテーオーエナジーに前をカットされる不利。
あれがなければもう少し迫れたかもしれないが、その厳しさも含めて日本ダービー。
おおむねやることはやった敗戦に納得できている。

180527_TKY10A
180527_TKY10B
180527_TKY10C
【回収:0円/投資:3,000円】

● その他ひとことメモ
・ 2着 △エポカドーロ
意表を突く皐月賞馬の逃げ。
戸崎騎手にしてみれば珍しく気迫を前面に押し出した判断だったと思う。
今回も皐月賞と同じく展開に恵まれたところもあるが、
その優位性を作り出せるのがこの馬の強さである。

・ 3着 コズミックフォース
プリンシパルS勝ち馬は黙って消し、と思考停止してしまった民多数。
まさかブレステイキングとどっこいどっこいの競馬をしていた馬が、
世代の頂点にあと一歩まで迫るなんて考えられない。
余談ながら京成杯とプリンシパルSでこの馬と接戦したイェッツトへの期待感も高まった。

・ 5着 △ブラストワンピース
心配された馬体重はプラス10キロ。
しかしパドックを見た限り太くは映らなかった。
ソツなく好位を取れたが、直線で追い出しを待つ場面もあって惜敗。
結果は伴わなかったが、
早くからここ一本に絞ってきた戦略は間違いではなかったと思う。



高速馬場を考えればペースも遅く、
人気馬の凡走もありややガッカリダービーな感もありますが、
それらを全て帳消しにするだけの魅力が福永騎手にはありました。
本当におめでとう、心から祝福を。

<関連エントリ>
■ 【回顧■弥生賞】皐月賞でダノンプレミアムを負かす術はあるのか (2018年3月6日更新)
■ 【考察】日本競馬に残されたロマン、それは人にまつわるドラマでは (2018年3月2日更新)

■ 【回顧■秋華賞】福永祐一とかいう天国と地獄を頻繁に往来する騎手 (2016年10月17日更新)