ついにこの瞬間がやってきた!!
ネロが京阪杯を制し、森厩舎が6年ぶりのJRA重賞制覇。
短距離戦線で着実に力をつけながらも、
重賞ではあと一歩及ばずにいた厩舎のエースが、
ようやく一つタイトルを手にした。

長かった。

かつては国内はおろか世界のG1をいくつも制してきた名門である。
それがいつの間にかすっかり大舞台とは縁遠くなり、
セセリやらモウカッテルやらネタ馬の宝庫に。
地方交流競走でこっそり勝ち抜けたあと、
少頭数の3歳重賞に突撃をかましてはあっさり散るのが様式美となっていた。


しかし90年代後半からの躍進ぶりを知る者からすれば、
まさかあの森厩舎がこれほど失脚するなんてという想いは未だに根強い。

JRA重賞勝鞍を見ながら、改めてその足跡を振り返りたい。

● 1993年
ジャパンC(レガシーワールド)

● 1994年
新潟記念(インターシュプール)

● 1995年
きさらぎ賞(スキーキャプテン)
中山記念 G2(フジヤマケンザン)
七夕賞 G3(フジヤマケンザン)
京王杯AH G3(ドージマムテキ)
神戸新聞杯 G2(タニノクリエイト)
セントライト記念(サンデーウェル)
※フジヤマケンザンで香港国際カップ優勝

ミホノブルボンでおなじみ戸山為夫厩舎を引き継いで..というのはご存じの通りでしょう。
いきなりレガシーワールドでジャパンCを制す。
さらに国内G1には手が届いていなかったフジヤマケンザンを香港へ送り出し、
日本調教馬による国際グレード競走初勝利を挙げる。
今でこそ当たり前になった海外遠征のパイオニアである。

● 1996年
金鯱賞(フジヤマケンザン)

● 1997年
フラワーC(シーキングザパール)
ニュージーランドT4歳S(シーキングザパール)
NHKマイルC(シーキングザパール)
函館3歳S(アグネスワールド)

●1998年
シルクロードS(シーキングザパール)
※シーキングザパールでモーリスドギース賞優勝

どちらかといえば「タイキシャトルのおまけ」的な扱いだったフランス遠征で、
シーキングザパールを勝たせる。かっこいい。
ちなみにこの年の中央での勝ち鞍を挙げた馬は、
スノーエンデバーとかノーザンウェーとか。懐かしい。

● 1999年
CBC賞(アグネスワールド)
※アグネスワールドでアベイユドロンシャン賞優勝

● 2000年
皐月賞(エアシャカール)  
菊花賞(エアシャカール)
※アグネスワールドでジュライC優勝

エアシャカールで国内クラシック初制覇。「キングジョージ」にも連れて行くw
この頃、20歳くらいのミルコを積極的に起用していたのが印象的。
欧州から連れてきて1000万下からスタートしたサンデーピクニックとかもいたな。
赤バンテージと社台RHもしくは吉田照哉氏の勝負服とのコーディネートがぐうかっこよかった。

● 2001年
根岸S(ノボトゥルー)
フェブラリーS(ノボトゥルー)
阪神牝馬S(エアトゥーレ)

● 2002年
チューリップ賞(ヘルスウォール)

ノボノボの時代キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ここからシーキングザダイヤやスターキングマン、
シャドウスケイプらを伴ったダート重賞荒らしが始まる。そして延々と続く。

● 2003年
京都ジャンプS(ウインマーベラス)
小倉サマージャンプ(ウインマーベラス)
阪神ジャンプS(ウインマーベラス)
京都ハイジャンプ(ウインマーベラス)

● 2004年
根岸S(シャドウスケイプ)
シルクロードS(キーンランドスワン)
アーリントンC(シーキングザダイヤ)
ニュージーランドT(シーキングザダイヤ)
オールカマー(トーセンダンディ)

● 2005年
阪急杯(キーンランドスワン)

このへんからガブリンとかステキシンスケクンとかネタ馬の走り的な何かがうかがえるw
とはいえ全国リーディングでも10傑に入るだけの勝鞍は挙げており、まだまだ順調。

● 2006年
アーリントンC(ステキシンスケクン)
小倉記念(スウィフトカレント)
京成杯AH(ステキシンスケクン)
セントライト記念(トーセンシャナオー)
武蔵野S(シーキングザベスト)

● 2007年
デイリー杯2歳S(キャプテントゥーレ)

06年に48勝を挙げていたのが、翌07年には21勝と大きく数字を落としている。
徐々に怪しくなる雲行き。
そういえばアルティマトゥーレは最初は森厩舎だったっけ..

● 2008年
皐月賞(キャプテントゥーレ)
カペラS(ビクトリーテツニー)

現時点で最後の中央G1勝ちがキャプテントゥーレの皐月賞。
しかしこれもエアトゥーレから続く血統の縁がかろうじて残っていたためで、
社台系の馬で挙げる勝利はジリジリと減少。

● 2009年
函館2歳S(ステラリード)
朝日チャレンジC(キャプテントゥーレ)

● 2010年
朝日チャレンジC(キャプテントゥーレ)

そして重賞戦線からの後退..
残されたのはセトノなんちゃらとかリアライズなんちゃらとかそっち系ばかりである。
一説によるとゴールデンチケットを全然うまく仕上げられなかったのが、
社台系の引き上げの要因のひとつになったとか何とか。
スタッフの入れ替えとか、色々あったんでしょうきっと。
詳しい理由は知りません。

そんな中で出現したのがカオスモスとネロ。
この孝行息子たちならきっとまた重賞を..と期待させる走りを早くから見せており、
今回ようやくネロが歴史の扉をこじ開けた。

● 2016年
京阪杯(ネロ)



かつて栄光を誇った名門の没落ぶりは、
「社台グループが厩舎から撤退することの恐ろしさ」の見せしめのようにも映る。
こうなりたくなければお前らはしっかりやれよ、とでも言いたげな。

しかし、訳のわからん名前で見慣れぬ勝負服に赤バン姿が主になっても、
年間14勝を谷に以降は徐々に持ち直しつつあるのはさすがといえばさすが。
小規模な馬主さんにささやかな夢を見させるという、
別のスタイルを構築しつつあるとも言える。
若くして成功を収めたこともあって、
まだ調教師の定年までは15年ほど残されている。長いw
新たな形でもうひと花咲かせるのだろうか。ちょっと楽しみである。

ちなみに、同じように低迷を経験した山内研二厩舎も、
今年は11年ぶりに平地重賞を2勝するなど持ち直し気配にある。
先日のみやこSを勝ったアポロケンタッキーは今週のチャンピオンズCにも出走予定。
もちろんピンクのダサいメンコは健在である。

「あの頃」の競馬場を彩った名門の馬装が、
今もこうしてG1の舞台で見られるのはうれしいことである。