文章には2種類のタイプが存在する。
あらかじめ用意している結論に向かって歩を進めるものと、
とりあえず歩きながら結論にたどり着こうとするもの。
読みやすく、書きやすいのは前者だが、
書いていて楽しいのは後者だったりする。

そんな前置きをするくらいなんだから、
今回のテーマは「とりあえず歩く」ところからスタートしている。

「なぜ、超スローペースは生まれるのか」。
先日の中山金杯を見ていて、改めて起こった疑問。

マイネルフロストが後続を引き離しながら、
前半1000mを62.3秒という楽逃げに成功し2着に残った。
直線の長い新潟とか東京ならまだわかるが、
中山の芝2000m、しかもG3でこのラップは相当に遅い。
捕らえられたのは4番手を追走していたヤマカツエースだけ。
3着以下の馬は展開に泣かされる形になり、
軒並み超高速の上がりタイムを計測しながらも完敗を喫することになった。


● 馬券につながらない超スローはおもしろくない
超スローの前残りはどうにも味気ない。
G1で訳のわからん先行馬が、
展開と馬場を味方につけて波乱を起こしたときの空虚な感じ。
有力馬が脚を余したまま「してやられた〜w」とばかりに差し損ねる情けなさ。

あれはどうにもおもしろくない。

特にペースに翻弄されて敗れた馬の馬券を持っていると、
「ええい何をグズグズしておる」と、
悪の組織の親玉ばりに歯がゆい思いをさせられる。
「もう少しペースが..」と敗戦の弁を述べられるとなおさら。

馬券さえ当たれば話は100%変わるけどw

● スローだとわかったところで、脱出はほぼ不可能
しかし、ひとたびスローペースにハマってしまうと、
レース中にそこから脱出することは残念ながらほぼ不可能。
自分から動いたところで他馬にとってメシウマなだけだし、
後続馬群の中はきっと「誰かが動いてくれ」と願い合う心理状況。
いつも通りのタイミングでスパートを開始し、
前が勝手に失速してくれるのを待つ選択肢を取るのは、
むしろ賢明かもしれない。

そもそも動くのが正解だと断定できるほど、
ジョッキーが判断力に長けているとも思えない。
我々と違ってラップタイムを見ながら馬に乗っているわけではないのだから。

● 逃げるジョッキーはスローペースを作ろうとする
一方で、逃げを打つジョッキーの心理状態。
そのほとんどが「スローペースに落としたい」と考えているはず。
できるだけ道中は脚を温存し、直線で突き放す..というシナリオ。
わざわざ速いペースを刻もうとするのは、
「せめて4角まで見せ場を..」と儚い野望を抱く伏兵くらいか。
あるいは「キレ勝負では分が悪いから後続にも脚を使わせながら..」という、
往年のタップダンスシチーみたいなスタイルも該当するが、
これはなかなかのレアケース。
間違っても「全馬が力をロスなく発揮できるようなペースを..」
なんてフェアプレー精神を持って逃げるジョッキーなどいないことは、
念のため再認識しておきたい。

◯ ここまでのおさらい
・ 逃げ馬の騎手はだいたいペースを落としたいと考えている
・ そうでないのは玉砕覚悟の伏兵か、ごく一部の強い逃げ馬
・ 後ろの騎手はペースが落ちてしまうともう逆らえない

● スローになるのは当然、自然に巻き込まれている現象
以上を踏まえると、
「スローペースになるのはある意味で当然」という風に思えてくる。
上手く言えないけど、高速道路の渋滞のように、
気がつけば自然に巻き込まれている現象とでもいうか。

せいぜいそれが崩れるのは、
ゲートを出た直後から競り合いが生じた場合か、
馬が息を入れてくれなかった場合か。
それらは残念ながら「ペースが遅い」と判明してから起こる事象ではないので、
やはり抗えないものだと言える。

だから、「なぜ?」という疑問については、
「そんなもんだから」という回答になってしまう。
とりあえず歩きながらたどり着いた結論がコレだとガッカリしますねw



● 必要なのは、スローペースとうまく付き合っていく姿勢
競走馬の質がレベルアップし、馬場も丈夫になった時代。
スローペースで前が止まらないレースは今後も増えていくと思われる。
中山2000mのように、
伝統的にペースが速くなりそうなコースでもお構いナシ。
そんな時に必要なのは、
「何をグズグズしておる」と地団駄を踏むのではなく、
「そりゃスローになるよね、わかるわ」と現実を受け入れる姿勢。
展開を味方について馬券が取れればなおよし。

スローペースになるのが当たり前という観点でレースを見れば、
だいぶストレスも緩和される気がするがどうでしょう。