いわゆる「谷間の世代」。
抜きん出た主力が不在のまま始まった秋の古馬チャンピオンロード。
宝塚記念を制し、暫定王者の座に就いたラブリーデイも、
まだその実力へのジャッジは半信半疑といったところで、
秋初戦の京都大賞典を危なげなく制したにもかかわらず、
単勝3.4倍の微妙な支持。
毎日王冠を勝ったエイシンヒカリを含め、
上位陣は互角との見通しでレースは始まった。

● 田辺裕信という鬼才
ペースはともかく、
誰もがエイシンヒカリの単騎逃げを確信していたところに、
思い切ってハナを奪いにかかったのがクラレントの田辺騎手。
「お約束事」を見事に破る逃げで有力馬のペースを崩し、
その一方で前半1000mを60.6秒に落とす巧妙なラップを形成。
直線ではエイシンヒカリを先に競り落とし、最後まで見せ場を作った。
結果的に6着に終わったとはいえ、勝ち馬とはわずかに0.4秒差。
土曜日のアルテミスSを伏兵デンコウアンジュで制すなど、
もはや重賞路線ではマークを欠かすことのできない名手の勝負手が、
まずは際立つ結果となった。

● 思わぬスローペース、またも展開ドンピシャのラブリーデイ
単勝1番人気に応えたラブリーデイ
今年に入って重賞は6勝目で、
G2G3ですら勝ち切れない、かつての頼りなかった姿はウソのよう。
好位を取ってスムーズに折り合い、
速い上がりを使って抜け出すパターンで今回も勝利を手にした。
こう書くと「展開に恵まれた幸運な勝利」とでも言いたげに映るかもしれないが、
この形を持っているのは大きな強み。
一番、負かすのが難しい存在かもしれない。
もしエイシンヒカリが速いペースで逃げたとして、
脚を削られる状況になった時にどれだけ最後に伸びるかが見たかったが、それは保留に。
ジャパンCあるいは有馬記念でその場面に立ち会えればと思う。

● 低評価を覆したステファノスの善戦
2着は単勝10番人気のステファノス
前崩れで一発..と思ってはいたが、
このスローペースでも末脚は際立っていた。
毎日王冠で差し不発組を狙うパターンは来年以降も生き続けそう。
今だから言うけど人気なさすぎでしょ。
おかげさんでワイド2発いただきました。ありがとうございました。

ステファノス/単勝

ステファノス/ワイド

次は香港ですかね。
せっかく新しく恩をもらったお馬さんですので応援しますよ。

● ひとことメモ
・ 3着 イスラボニータ
外枠で腹を括って差しの競馬。
結果的に新味を引き出すことになったが、
せっかくの舞台だっただけに「惜しい」では済ませたくないだろう陣営にとっては。
とはいえ、アクシデントが続いて順調さを欠いた春に比べれば見違えるほどの充実ぶり。
もはや適条件なら無視できない存在に。

・ 5着 アンビシャス
好枠を引いたが折り合いを欠いてしまい伸び切れず。
それでも掲示板までは来られるのだから能力はある。
本領発揮はマイル戦だろうか。

・ 8着 ディサイファ
内枠を引いたとはいえ、3番人気はなあ..
札幌記念みたいにもうちょっと流れれば持ち味を発揮できたのかも。

・ 12着 ラストインパクト
ラフプレーの常習犯と化した菱田騎手が2角で斜行し、
ダコールらに迷惑を掛けている。
しかも自身も内ラチに衝突してるし。
東京2000mのG1に乗るにはあまりにも未熟すぎる騎乗。

・ 17着 サトノクラウン
休み明けとはいえ最後は完全に止まっている。
次にどこを狙うかはわからないが、
G1ならしばらく様子見でいいんじゃないかと思うほどに内容が悪い。

・ 18着 ヴァンセンヌ
安田記念2着健闘もジョッキーを替えた結果、折り合いを欠きシンガリ負け。
マイル戦に戻ればチャンスはあるかもしれないが、
結果的に鞍上スイッチは失敗だったのでは..



ここからジャパンC、マイルCS、香港と、
それぞれ目指す路線へと分かれていくことになると思いますが、
とりあえずラブリーデイはこのまま王道を極めてしまうのでしょうか。
何だかんだ言いながら有馬記念まで突き進んだゼンノロブロイを思い出すような。

ジャパンCではついにゴールドシップも出走。
あとは凱旋門賞2着馬フリントシャーも参戦予定だとか。
そして有馬記念にはキタサンブラックが出てくるかも。
それぞれが順調に出てきてくれれば、十分に盛り上がる秋になりそう。