終わってみればコパノリッキー。危なげのない内容で連覇達成。
しかしゲートはお世辞にも上手とはいえず、
隊列が固まるまでは多少ヒヤヒヤしながら行方を見守っていたことだろう。
馬券を買っていた方々は。

3連単12,370円はイージーなようでリスクも伴う勝負だったかと。
取られた方々おめでとうございます。

●メンバー構成
ホッコータルマエが川崎記念を勝った後、ドバイ遠征に備え登録すら見送り。
この時点でVやねん!コパノリッキー状態だったわけだが、
追い打ちをかけるように根岸Sを勝ったエアハリファも週半ばに回避が決定。
結果的に単勝2.1倍の圧倒的支持。
2番人気がワイドバッハで6.3倍、
ベストウォーリア、ローマンレジェンドまでが単勝1ケタ台のオッズ。
以下インカンテーション、サンビスタ、カゼノコそしてハッピースプリント。
4歳5歳の新しい勢力がG1に名を連ねるようになってきた一方で、
実績面ではやや物足りない印象の残るメンバーとなった。

●展開と隊列
最大の焦点はコパノリッキーがスムーズに先行できるかどうか。
揉まれるとダメな気性の割にゲートが下手で、
細心の注意が払われた前走でも五分に出るのがやっと。
もし失敗するようならチャンピオンズCの悪夢再現もあるで..と心配させられた。
今回もどうにか出遅れずには済んだものの、
武豊が注文をつけてポジションを取りに行くことで番手の確保に成功した。

その一方で、単騎先行が見込まれていたコーリンベリーが大出遅れ。
確か昨年のプロキオンSでも同様のミスを犯していたはずだが、
またしても先制に失敗することとなった。
代わりにレースを引っ張ったのはアドマイヤロイヤル。
2番手集団にキョウワダッフィー、ワンダーアキュートそれからレッドアルヴィス。
内からはグレープブランデー、外はインカンテーション。
中団にはサンビスタ、ベストウォーリアも外めを追走。
ハッピースプリントは流れに乗れず後方から、ワイドバッハもこの位置。
ローマンレジェンドも馬群を避けての追い込み。
シルクフォーチュンやカゼノコはいつもの形。

●直線の攻防
早めに抜け出したコパノリッキーが堂々先頭。
インカンテーション、ベストウォーリアが外から差を詰め、
内から忍び寄ってくるのはグレープブランデーとローマンレジェンド。
やや踏み遅れたワイドバッハは坂を上がったところから追い込んでくるものの届かない。
最後はコパノリッキーのセーフティリード。
インカンテーションが半馬身差までは詰めたものの、危なげない内容だった。
3着ベストウォーリア。ワイドバッハは6着まで。

●ラップタイム
12.3 - 10.6 - 11.4 - 12.6 - 13.1 - 12.3 - 11.5 - 12.5 = 96.3 (av.12.0)

前後半に分けて書くと46.9-49.4の前傾ラップ。
意外なことに横山典弘が思い切った逃げを打ったことで、
レース直後は「うむフェブラリーSらしい消耗戦で純粋な力勝負になったわ」と満足していたが、
4〜5ハロン目にかけてガッツリ緩んでる。
なるほどなあ、真ん中で息が入る前傾ラップねえ...
16頭の着差が小さく、あれもっとバタバタになる馬がいてもおかしくないのにと思った違和感は、
これが原因だったか。
正体はスローペースですね。
序盤バラけたおかげで位置取りゲーにはならなかったけど。

だとすれば、前はもっと速い上がりでまとめてくれてもいいのに割とモタモタ。
勝ち時計1:36.3はハッキリとスローだった昨年よりもさらに遅いもので、
1分34秒台後半〜35秒台にかけて決着するのがデフォだった時代の潮流に逆らっている。
もう少しタイム的には高いレベルで決まって欲しかったのが正直なところ。

●ひとことメモ
・1着 コパノリッキー
出遅れが怖くて買う気になれなかった。信じ切った人おめでとうw
ベテランが強いダート戦線で、4〜5歳でG1連覇は立派なもの。
ムダに使われていないので、まだまだ頑張ってくれそう。
しかし..歴代のダート王たちに比べると、やや能力的に物足りなさを感じる現状。
ゲートの上達なども含め、伸びしろが残っていることに期待。

それから武豊ファンの皆様もおめでとうw
いきなり買ってくれると見ている側も盛り上がって楽しいです。
これでゴールドアリュールとの父仔でコンビと組んでのG1制覇。
武豊自身は過去に5例達成していて、今回が6例目。

※武豊とのコンビでG1を勝った親子たち
ベガ−アドマイヤベガ
エアグルーヴ−アドマイヤグルーヴ
タニノギムレット−ウオッカ
ディープインパクト−キズナ
ディープインパクト−トーセンラー
ゴールドアリュール−コパノリッキー
←New!!

実は岡部幸雄さんでもシンボリルドルフ−トウカイテイオーでしか達成しておらず、
これだけの数で記録を成し遂げる武豊のレジェンドぶりは際立っている。
内国産で血が繋がりやすくなっていることを思うと今後は例も増えるとは思うけどね。

ちょっと話は逸れましたがコパノリッキー、
今年もドバイは見送って次はかしわ記念だそうです。いいんじゃないでしょうか。
スタートが上手になればもっとレースの幅も広がるし、さらなる成長を楽しみにしています。

・ 2着 インカンテーション
このところ差す競馬が多かったことで印象が薄くなっていたけど、
そういえば元々は先行押し切り志向のタイプだった。
ジワジワと勝ち馬に迫ったが、完敗の2着。

・ 3着 ベストウォーリア
結果的にこの馬にとってドンピシャの展開になったはずだが、意外と伸び切れず。
外を回らされたせいか、久々のせいか。両方か。
昨年は内で包まれて動けなかったし、うまく物事がハマるって難しい。

・ 4着 グレープブランデー
一昨年の勝ち馬、武蔵野Sに続き東京マイルで僅かに意地を見せる。
前走では逃げる形になったように、前に行ける脚と闘志があるのが善戦の源。
ニホンピロアワーズばりにプライド捨てて交流重賞に回れば勝ち目も。

・ 5着 ローマンレジェンド
揉まれ弱いこの馬が最内枠という時点で詰んでた。
岩田康誠がどうにか包まれないような位置を取りながら進んだが、
さすがに後方からラチ沿い強襲は厳しい展開だった。
脚力そのものはまだ衰えていなさそうだが。

・ 6着 ワイドバッハ
一発逆転ならこの馬、と2番人気に支持されるも不発。
前述のとおり中盤で流れが落ち着いたところで、
カゼノコやらシルクフォーチュンが後ろからマクるように上がってきたことで、
追い上げのタイミングが遅れてしまったのが痛かった。
とはいえあそこがスムーズでも3着くらいが精一杯だったか。

・ 11着 ハッピースプリント
後方からの競馬で見せ場なし。着差こそ大きくはないが完敗。
マイルの距離がいい方に出ればと期待していたのだが..
トーシンブリザードって強かったんだなあ。

・ 12着 アドマイヤロイヤル
意外なまでの積極策、
もしやノリさんユタカのためにペースメイク買って出たかなどと想像していたら、
とんでもない奇策を打ってやがったw さすが曲者。



ホッコータルマエ不在、5歳勢が台頭してきたものの新しい力は不足がち。
ちょっと停滞感から脱せずにいるダート路線を象徴するレースだった気もします。
次代の夢はゴールデンバローズに託してしまってもいいのでしょうか。(つづく)