デムーロだルメールだ合格だと騒いでいた2月5日の夕刻に、訃報が飛び込んできた。
種牡馬ステイゴールドが急死。
21歳、種付けの仕事もまだまだこなしていた矢先での出来事だっただけに、
驚きを隠せなかった。

オルフェーヴルやゴールドシップに続く大物の輩出が待たれていたことだろう。
しかし三冠馬に天皇賞馬、グランプリホースを続々と送り出し、
もうこれ以上の心残りは殆ど何もないのではと思わせるほど、
充実した種牡馬成績を残しての逝去。
ある意味で快く、「黄金旅程」の終着点を見届けることができたと思っている。

波瀾万丈の現役生活は、今さら振り返るまでもないだろう。
当時から人気のある馬だったが、
個人的にはそこまで好きだったわけではなかった。
ただ、それでも香港ヴァーズの勝ちっぷりには感動したし、
未だに最後に手前を替えてからありえない脚色でエクラールを捕らえにいく映像は、
鳥肌がブワッと立つだけの破壊力を持っている。

そして、種牡馬としての、予想をはるかに上回る大成功。
初期の頃にソリッドプラチナムがマーメイドSを勝ったり、
エムエスワールドが小倉の新馬を圧勝したくらいで、
「ほほうステイゴールドもそこそこやるやないか」と思っていたくらいで、
前述のような、G1を幾つも勝つような名馬を立て続けに送り出すだなんて、
まったく想像もできなかった。
母父メジロマックイーンとの謎ニックスも含め、神がかり的な産駒の活躍であった。

世代的には辛うじてリアルタイムで最初から最後までを見届けることができた。
最近の若者からすれば羨ましいことだろう(ドヤァ
でも本当に、現役当時はまさかこんな形で後世に語られるような存在になるなんて、
とてもじゃないけど予見できなかった。

こうして簡単に生涯を振り返っただけでも、とにかく驚かされることばかり。
競馬は意外性のスポーツだが、
その観点で言えばまさに競馬の魅力が凝縮された名馬だったと思う。

本当におつかれさまでした。