普段、電車の網棚を使うときは必ず手持ちの荷物すべてを置くようにしている。
そうすることで忘れ物の予防になるという、自分で始めた心がけである。

しかし今朝は長岡天神の駅で入手したエルゴラを早く読みたいがために、
お弁当の入った手提げ袋だけをポイーしてしまい着席、
カバンをひざに置いた状態で爆読を始めてしまった。

破滅の予感である。

案の定、淡路で乗り換える際には網棚に乗せていたことなどすっかり忘れて降車。
電車はそのまま堺筋線へ、僕は梅田へ。永遠の別離。

四つ橋線に乗り換えようと歩いている途中に「あっ」と気付き、
お忘れ物センターに電話したものの発見されないまま今日は幕を閉じた。

たかがお弁当箱、されどお弁当箱。
無くしたと気付いた瞬間のショックはなかなかに大きかった。
まずは、「もったいない」という気持ち。
食べ物は粗末にしてはいけないという先祖代々の教えはしっかり受け継がれているようだ。
そして何よりも「せっかく作ってくれたのにこんな形でフイにしてしまい申し訳ない」という気持ち。
どうにかして取り戻して、いつも通りおいしくいただかなければ..という使命感に駆られた。
※たとえ戻ってきたとしても食べるべきではなかっただろうが

大事なものは失った時に初めてその尊さに気付くというが、
不本意ながら今日のできごとで日頃からお弁当を作ってくれる奥さんへの感謝の思いを再発見した。
やらかしてしまったことは反省しつつ、いいキッカケになったような。

すんませんで済ませるわけにもいかず、
帰りは阪急百貨店で五感の「ええもん」をお詫びの品として買うことにした。
当然、その紙袋は通勤用のショルダーバッグと一緒に網棚へ。
もう二度と同じミスは犯さない、その第一歩が始まった。