■エリカ賞


07年以来6年ぶりに土曜日に行われたエリカ賞。
G1前の高まるムードの中で行われるのもいいが、
土曜の穏やかな雰囲気がかつての「出世レース」感を醸成させ、
アドマイヤベガやクロフネ、キングカメハメハが羽ばたいたあの頃を思い出させてくれる。

今年の勝ち馬は、もしかしたらそこに名を連ねるかもしれない。
9月の阪神で新馬戦を圧勝したバンドワゴンが、
それ以来の実戦ながら5馬身差の圧勝。
スタート直後は控える素振りを見せながらも、
1Fを過ぎる手前からハナに立ち、直線は後続を突き放しての逃げ切り。
弾むようなストライドが非常に特徴的で、
これは順調に育てば大きいところも視野に入ってくるかもしれない。
さすがに陣営も高まる期待を隠せずにいる。

1着 バンドワゴン(和田騎手)
「ゲートをゆっくり出たので2、3番手でもいいかなと思いましたが、トビが他の馬と違って自然にハナに立つ形になりました。前走も、調教でもモタれていて、今日も直線ではモタれていましたし、行けている分にはいいと思いますが、控えた時にどうなるかでしょうね。能力は夢を抱かせてくれるものがありますし、あとはどうコントロールしていくかでしょう。今日もまっすぐ走っていたらもっと伸びていたはずです」

(石坂正調教師)
「期待通りでした。ああいう感じになれば勝てるんじゃないかと思って見ていました。カリカリしている馬ですが、心臓がすごく強いのでしょうね。この後はオーナーと相談ですが、ここで勝てましたし、来年の春に向けて展望がひらけました」

■【エリカ賞】(阪神)〜バンドワゴン 無傷の2連勝(ラジニケ)

和田竜二の「まだまだ課題が」というコメントが大物候補っぽさをうまく表現してるよなあ..w
完成したらどうなるんだというワクワク感を持たせつつ。

それにしてもプロフィールは異色である。
父はホワイトマズル。
数多くの強豪を送り出した種牡馬ではあるが、
G1を複数取るほどの産駒にはこれまで恵まれておらず、
そのイメージはどちらかと言えば「個性派」に強い。
そして母はピラミマ。
たぶんノーザンファームが2009年くらいに輸入した繁殖牝馬で、
上にはナンヨーカノン(2勝、父フジキセキ)がいる。
バンドワゴンのひとつ下はサムライハート産駒であり、
お世辞にも超期待されている肌馬ではなさそうな待遇である。
新馬戦でトゥザワールドらの影に隠れ、
単勝4番人気にとどまったのも仕方ない「地味な」血統背景。
だからこそ、規格外の怪物が出そうな気もしてるんだけど..



ちなみにバンドワゴンとは「パレードの先頭の楽隊車」のことらしく、
「バンドワゴン効果」という政治経済用語もあるらしい(知っとけよ)。
こういうのが流行してますよという情報が流れることで、
ますますそれに乗っかる人が増えて指示が強まるという意味ですって。
なるほど近年の選挙戦とかまさにそんな感じですね。

勝ち馬に乗りたい群集心理を引き連れて、馬群の先頭を征くバンドワゴン。
その将来は果たして――

というキレイな締めで本日は終わる。