これも運命というやつなのだろうか。
天皇賞で激突するジェンティルドンナとトウケイヘイローは、
昨年のシンザン記念以来の再戦となる。

当時はトウケイヘイローの方が単勝1番人気。
決して派手な血統ではないが、
朝日杯FSで9番人気ながらも4着と善戦し、
実績ではメンバー中屈指のものをすでに積み重ねていた。
一方、ディープインパクト産駒のジェンティルドンナは、
単勝2番人気ながらも未勝利戦を勝ち上がったばかり。
姉にドナウブルーを持つ期待馬とはいえ、
まだどの程度の力を秘めているかは未知数であった。

結果はご存知の通り。

牡馬を圧倒し、一躍スターダムへと駆け上ったジェンティルドンナは、
三冠に加えジャパンCまで制する快挙を成し遂げ年度代表馬に選出された。
その活躍ぶりをトウケイヘイローはどんな思いで見ていただろうか。
春はマイル路線に活路を見出すも結果が出ず、
新潟で古馬に混じりながら条件戦で奮闘。
着実に進境を見せるものの、その歩みは極めて地味なものであった。

ところが..!
この夏、武豊との出会いをきっかけに、
鳴尾記念、函館記念そして札幌記念を連勝。瞬く間に一流馬の仲間入りを果たした。
そして年度代表馬が待ち受ける天皇賞へ。
しかも、ジェンティルドンナが最も嫌がるであろう、
速いラップで逃げ消耗戦に持ち込むスタイルを確立して..。

将来の保証がないトウケイヘイローにとっては、
未来を切り開くために勝ち続けるしかない。
特に血統面でのフォローが得られない生い立ちでは、
自らの走りでその価値を磨くことが、生存競争を勝ち抜く唯一の方法。

因縁の相手に対して、影をも踏ませぬ逃げ切りを見せるか。
未来を明るく照らしてくれる栄光を、つかむことができるか。