●10月21日
◇京都11R 菊花賞
■レース結果(netkeiba)
予想エントリ:【菊花賞予想】◎ゴールドシップ

思いもよらぬ「航路」を進む芦毛の舟。
その行方を安心して見守れる者は、さすがにいなかったのではないだろうか。
2角をほぼ最後方で回りながらも、
バックストレッチの上り坂で一気に前との差を詰め、
4角先頭からそのまま押し切る超ロングスパート。
まさか83年にミスターシービーが見せたマクリ脚の再現など、
とても戦前に想定できるものではなかった。

タブーは、人が作るものにすぎない。
ゴールドシップ、「伝説」の完コピでクラシック二冠達成。



常識破りも甚だしい勝ち方ではあったが、
もっとも彼の長所からすれば実は理に適った戦法でもあった。
何度も書いてきた通り、
この馬の最大の武器は一度エンジンがかかったら簡単には脚が鈍らない持久力。
スパートのタイミングが遅れることが最も危惧すべき状況であり、
それを避けるためには早めに動くのはわかりやすい得策と言えるだろう。

とはいえ、あんなに早くから仕掛けていくとはなあ..。
さすがにこの馬をもってしても、最後は止まるんじゃないかとハラハラした。
それでも、追撃するスカイディグニティ以下を封じるどころか、最後は逆に突き放す脚勢。
お見事ですわ。

<ラップタイム>
13.0 - 11.9 - 12.2 - 12.2 - 11.6 -
11.6 - 12.6 - 12.5 - 12.3 - 12.2 -
12.5 - 12.2 - 11.9 - 11.8 - 12.4

ニューダイナスティが行かず、
武幸四郎のビービージャパンが引っ張る展開。
1000m通過60.9秒という平均的なペースを、
後続馬群も離れることなく追走し、
さらに向こう正面に移ってからも13秒台に落ちるところがなく、
ゴマカシの効かない底力勝負となった。
これがもし前半スローで流れていたりしたら、
ゴールドシップがマクっていった際に周りも同時にポジションを上げて、
あそこまで前に取り付くことができなかったかもしれない。
また、一団になってレースが流れてくれたおかげで、
ジョッキーとしても前を射程圏に入れやすかったことだろう。
そういう意味では展開面でもフォローがあって助かりました。

スタートについてはなあ..
遅いとは思っていたけど、これほどまでとは。
最内枠ならうまく距離ロスをなくして馬群に潜り込めると思いきや、もう全然ダメw
ゲートはいつになくポンと出たように見えたんだけど。
1周目3角を最後方で回るとか、さすがにそれは考えてなかった。

思えば皐月賞も衝撃の内マクリ。
形に捕らわれないのがスタイルというよくわからないキャラで、
クラシックを2つも取ってしまった。
昨年の夏、札幌で勝ち名乗りを上げた「ステイ×マック配合」の芦毛馬に心奪われてから、
走るたびに一つひとつ課題を克服しつつ力をつけてきたその先に、
3歳馬としてほぼ最高クラスの栄誉を手にすることになるとは。

G1で単勝2倍を切る圧倒的人気に応えるという大仕事を完遂したことが、本当に誇らしい。
これでカレンブラックヒルがよほどの活躍をしない限り最優秀3歳牡馬の称号は手に収めた。
あとは古馬との対戦結果次第では、年度代表馬もチラ見できそう。
次はジャパンCか有馬記念か。
ロングスパートがハマるのは有馬記念だろうが、
あのヒョコヒョコした出足でまたシンガリ追走とかされたら今度こそ無理ゲーw
かといってジャパンCで真っ向勝負の追い込みにかけても、ちょっと届かなさそうだし。
まあ、もう一度チャレンジャーの精神に戻って気楽にレースが見たいかな。
単勝1.4倍はあまりにも重圧が凄かった。



いつも通り、2着以下は簡単にメモ書き。
いわゆるステイヤーが上位に来る、正統派の菊花賞でしたね。

●2着 スカイディグニティ
先にマクっていった勝ち馬についていく形で追撃。
直線ではよもやの場面もあったが最後は力尽きた。
鞍上のI.メンディザバルは何と4角で右腕を脱臼していたらしいが、
それを感じさせずしっかりと馬にゴーサインを送っていた。
夏を過ぎてメキメキと頭角を現してきたブライアンズタイム産駒。
今後も長距離路線を中心に目が離せない存在となりそう。

●3着 ユウキソルジャー
北海道の2600m戦で勝ち上がってきたタフさが活きる展開となり、
最後はベールドインパクトとの激しい3着争いで前に出た。
いかにも菊のダークホース的なキャラだったが、
馬券に絡んだことでその役割もしっかりと果たせたのでは。

●4着 ベールドインパクト
ディープインパクト産駒の中では最先着。
馬体を擦られてやや折り合いを欠く場面もあったそうだが、
神戸新聞杯大敗からの前進は見られた。

●5着 ラニカイツヨシ
こちらも勝ち馬について回る形。
最後までよく食い下がっており、大健闘を見せた。

●6着 ロードアクレイム
たぶん福永祐一は内から一発を狙ったんだと思うが、今ひとつ伸び切れず。
まあ、こんなもんかなといった印象。

●8着 フェデラルホール
こちらも現時点での力は出し切れているのでは。

●9着 マウントシャスタ
2番人気に支持されてはいたが、やはり距離が長かったか。
川田将雅が正攻法の乗り方で勝ちに行ったが、最後は失速。
もう少しゆったり流れればまた結果も違ったかも。

●11着 ニューダイナスティ
注文をつけてでもハナに行くべきだったのでは。
ビービージャパンに前に入られてからはズルズルとポジションを下げてしまい、
馬群で揉まれる厳しい競馬になってしまった。これでは持ち味は出せない。

●14着 タガノビッグバン
4角でバテてきたトリップがジャマになってブレーキ。終了。
母父リアルシャダイが不気味極まりなかったのだが。



ゴールドシップにとっては絶対に負けられない戦いで、
見事そのプレッシャーを跳ね除けて勝ってくれました。
本当にいいレースが見られました。
この秋はロードカナロアしかり、ジェンティルドンナの三冠達成しかり、
勝つべき馬がちゃんと勝ってくれているのがうれしい。
もちろん波乱劇も競馬の魅力ですけど、やはりG1はこうじゃないと。

来週は天皇賞。
ルーラーシップ、カレンブラックヒル、ダークシャドウ、トーセンジョーダン..ふおおおw
現代競馬の花形ミドルディスタンスで覇を競うに相応しい好メンバーが集まり、
またハイレベルなレースが期待できそうです。
とか言うてると魔物発動しそうだけど。