ナイスなネーミングセンスでおなじみの小田切有一オーナーの所有馬について、
以前ポートレート的なエントリを作成したことがあった。

■小田切有一氏の偉大な功績を振り返ってみた。(08年8月29日更新)

あれから2年近くが経ち、
新たにノミネートさせたい「作品」が競馬場を賑わせている。
そこで第2回エントリを立ち上げてみた。

今回も10頭、行きます。
●ドモナラズ (2007-)
まずは最も旬な小田切軍団の馬。
柴田善臣相談役とのコンビで七夕賞を制覇。
今週の小倉記念に出走し、
サマー2000シリーズを大いに盛り上げている。

七夕賞の優勝は単勝11番人気でのもの。
それを含めた通算6勝は4、7、4、3、10、11番人気と、
いわゆる典型的な穴馬として活躍している。
ちなみに下級条件戦を含めても、単勝1番人気に支持されたことはない。

ドモナラズとは丹後地方(京都北部ですね)の方言で「腕白者」のこと。
走っても走っても人気薄という冷遇ぶりが、
彼の反骨精神の源といえるかもしれない。


●キョカキョク (2010-)
小田切軍団期待のルーキー。
こんな名前をつけるなんて、小田切さんはドSとしか思えないw
まさに実況泣かせ。
せめてもの救いは特許許可局、もしくは東京特許許可局ではなかったこと。
デビュー戦は12着。
きっと名前を呼ばれる機会も少なかっただろう。


●タクシー (2009-)
馬なのに、タクシー。
これはなかなか秀逸である。
一応、JRAの馬名アーカイブでは「(航空機が)地上走行する」意味だと説明されているが、
誰がどう考えても由来は通称「タク」のタクシーである。
いや待てよ、「タク」と呼ぶのは関西人だけか?

それはさておき。

大学の頃、よく一緒に競馬場へ行っていた先輩と、
「今日くらい馬券でドカーンと勝って、タクシーで祇園まで行きたいな!」
なんて会話をよくしたものである。
満員の電車を華麗にスルーして、タクシーで繁華街へ向かう・・
それは、思えば競馬ファンにとってのささやかな夢。
もしかしたら、小田切さんはこの馬が「夢の使者」となるように、
願いを込めて命名してくれたのかもしれない。

そんなタクシー。
新馬戦でリルダヴァルの4着と上々のデビューを果たしたものの、
その後は5戦して一度も掲示板に載れないまま荒尾競馬へと転出された。


●クリーン (2006-)
この度、「第2回」を作成するにいたったのは、
実はこの馬のことを書きたかったからかもしれない。
ナイスキャラですよ、クリーン。

何度もこのBlogで書いたけれど、
アメリカの名手・A.ガルシアとのコンビでWSJSのレースを制し、
ジョッキーに「こんな大きい馬はアメリカでも乗ったことがないよ!」と、
興奮気味に言わしめたという伝説は有名。

ガルシア騎乗時の馬体重が602キロ。
それから1年半ほどが経ち、前走は614キロまで成長しているw
今のところ、前述のゴールデンスパーTが最後の勝ち鞍となっており、
オープン昇級後は馬券圏内にも入れていない。
それでも近4走は勝ち馬から1秒以内のレースができているし、
特に先週のKBC杯は4着とあわやの場面も見せた。

この調子ならまだまだ元気な姿が見られそうだし、
できればもう一度、ガルシアとのコンビを‥と切に願う。

ところでこのクリーンという名前、ひとつワナが潜んでいるのをご存じか。
登録されている英語表記は「Clean」。
いわゆる「きれいな」の意味でいいんですけど、
実はドイツ語の「klein(=クリーン)」には「小さい」という意味があった・・!
この巨漢馬にこっそり「小さい」という意味の命名をするとは、
さすが小田切さんのマイスタークオリティ!


●アラシヲヨブオトコ (2008-)
オレハマッテルゼ以降、GIに出られる戦力を持っていない小田切軍団。
その中において、大きな期待が寄せられる素質馬なのだが・・
残念ながら2歳暮れのホープフルS(2着)を最後に、戦列を離れたままだ。
父がマンハッタンカフェで、半姉にはサンアディユがいるという良血。
新馬勝ちの後、デイリー杯2歳S5着を挟んで、
黄菊賞ではジェルミナルの2着など強い相手と好勝負を演じている。

復活すれば、長い距離での活躍が見たい馬。
1日も早い復帰を、オレハマッテルゼ。


●キヲウエタオトコ (2007-)
もういっちょ「オトコ」シリーズ。
短距離の条件戦でいつも惜敗しているイメージ。
つーか小田切さんの馬って基本的に短距離寄りやんね。
あんまりステイヤータイプで出世した馬が思い浮かばん。
ちなみに名前の由来は小説のタイトルから。


●スマイルフォライフ (2005-08)
堅実派で、1000万下を勝ち上がるまではいつも安定したレースを見せていた。
ところが準OPに昇級してからは、
マトモにクラスの壁にぶち当たってしまったようで、
一度も馬券に絡めぬまま現役を引退した。

条件馬の割に、武豊が乗ることが多く、
また圧倒的人気に支持されることも多かっただけに、
実績の割に存在感のある馬だった。

それ以上に、この勝負服で「スマイルフォライフ」などと命名されると、
ついエガオヲミセテに思いを馳せてしまい、大変印象的な名前でした。


●カゼニフカレテ (2001-06)
日本ダービー馬サニーブライアンの代表級産駒。
1000万下クラス在籍中に重賞(愛知杯)を勝った離れ業がハイライト。
だが、その後は準OP戦(まだ出走できたのか)にも勝てずに終わった。

しかし、戦績をひも解いてみるといろんなことがわかるもので、
京成杯4着→きさらぎ賞3着と、
意外にクラシック戦線に絡んでいたとは全く覚えておらぬw
京成杯なんて、ローマンエンパイア-ヤマニンセラフィム同着のアレですよ。


●ナゾ (2000-06)
謎である。
短距離戦線で息の長い活躍を見せていた。
イメージではローカル(小倉とか中京)の1000万下条件で頑張っていた記憶があるけど、
最後は重賞にもコンスタントに出るまで成長していたんですね。

ネーミング的には、直球勝負の「悪ふざけ系」であまり好きじゃないですけど、
そこそこの実績があったため今回ピックアップしました。
ちなみに、09年に誕生した仔の父はオレハマッテルゼらしいです。
オレハマッテルゼ×ナゾ。夢の配合ですね!!


●エドモンダンテス (2002-07)
先週の「小倉競馬シリーズ」で紹介した馬です。
この名前を聞くと、どうしても「スト2」のエドモンド本田を思い出して仕方がない。
百烈張り手とスーパー頭突きでおなじみの、あの方です。
さらにオーナーが小田切さんだとわかればますますネタっぽく聞こえるのだが、
実際は小説「モンテ・クリスト伯」の主人公の名前だそうで。
時折、マジメな気持ちで命名されるから油断ならない。

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以上。小田切さんがいる限り、
ナイスな珍名馬は競馬場を走り続けるのである。
このエントリも、いつか第3弾を書く日がやってくるに違いない!