コスモバルクならびにエイシンデピュティの斜行についても色々と思うところはあるが、
不利を受けた各陣営の談話には五十嵐冬樹へのバイアスが含まれているようにも感じる。
それこそ「またやりやがった」的なね。
05年有馬記念で不利を食らった音無秀孝師に苦言を呈されたり、
もっと前では03年の函館2歳Sでフィーユドゥレーヴに体当たりをカマしたり・・
そんな「前科」が、
今回の件でも故意過失を問わず五十嵐に批判の目を向けさせる原因になっているのでは。

もちろん、迷惑を掛けた事自体は批判されて然るべきではあるのだけど。


10月28日
◇東京11R 天皇賞
1着▲メイショウサムソン――58武豊
2着・・アグネスアーク――――58吉田隼人
3着・・カンパニー――――――58福永祐一
・・・・・・
4着☆ポップロック―――――58O.ペリエ
5着・・コスモバルク―――――58五十嵐冬樹
6着◎アドマイヤムーン―――58岩田康誠
9着○ダイワメジャー――――58安藤勝己
13着・・エイシンデピュティ――58柴山雄一(※8位入線降着)

そんなゴタゴタも▲メイショウサムソンの強さの前に鎮圧させられた。
もっと際どい勝負になっていたら尾を引いてもおかしくはないが、
これだけの差をつけられて「不利がなければ勝っていた」なんて言うのはおこがましい限り。

勝因は最内枠をフルに味方につけた武豊の好騎乗と、
最内枠がフルに味方になった展開のアシスト。

逃げる・・それもある程度引き離して逃げると思われていたシャドウゲイトが好位に甘んじ、
その先導役を視界に入れながら先行策を取るはずの○ダイワメジャーもいつもより控えめ。
前にプレッシャーをかけるはずの人気馬がその役割を放棄した結果、
思いのほか緩んだ展開でレースは進んだ。

こうなれば、仕掛けどころとなる4角でのポジショニングが大きく勝敗を左右する。
絶好のスタートを決めた白い帽子の武豊は、
そのまま道中5番手のインをがっちりと確保し、
4角でも巧みに内をすくって早めに先頭。
05年の勝ち馬ヘヴンリーロマンスや、
昨年のNHKマイルCのロジックに似たコース取りだが、
単勝1番人気の主役がこの乗られ方をすればまず磐石。
外で馬群がゴチャついたせいもあったが、この時点での脚色が他とは歴然としていた。

ダイワメジャーが行かなかったのも、
いつもより前でレースを進めるメイショウサムソンの標的になりたくなかったからかもしれない。
安藤勝己も、毎日王冠で3着に敗れやや勢いに陰りの見られる愛馬に「絶対」の信頼を寄せられなかったか。
ディフェンディングチャンピオンに「いつもの競馬」をさせなかったのも、
テン乗り武豊ならではの好プレーだった。

・・・・・・
◎アドマイヤムーンの岩田康誠は、
追い出したタイミングでの接触のアクシデントを悔やんでいたが、
最後は止まっていて内を狙った馬に差されている。
ふつう、一度ブレーキをかけさせられた馬は体勢を立て直されてからまた伸びる。

これはアバウトな印象でしかないのだが、
岩田の乗る東京コースの差し馬は最後脚をなくさないか?
今回もちょっと動き出しが早すぎるように思えた。
スパートして最も距離のロスがあるコーナーの地点で前との距離を詰めるせいで、
坂を上がってから末脚が鈍ってしまう・・例えばヴィクトリアマイルのディアデラノビアとか。
岩田は東京の重賞をまだ勝っていないらしいが、そのへんが原因なのかもしれない。

いずれにせよ、不利がなければ勝てていたとは思えないほどメイショウサムソンのレースは完ペキだった。

・・・・・・
カンパニーはここで掲示板をちょっと外すくらいに負けておいて、
マイルCSでがっつり勝負しようと思ってたのにこれじゃバリバリの有力馬じゃねえか。誤算。

☆ポップロックは外枠の不利をカバーできる圧倒的能力も機動力もない。
潔く待機策に出て差してきたが、これは仕方ない。距離が延びてフェアなコースになれば。
O.ペリエもこの馬場で外を回さないのはさすがの好判断。

・・・・・・
勝因は最内枠をフルに味方につけた武豊の好騎乗と、
最内枠がフルに味方になった展開のアシスト。

メイショウサムソンの勝因についてこうまとめたが、
結果的に、味方につけられる展開を作り出したのも武豊だった。
これがJRA通算2999勝目。やっぱり勝てる騎手は違うね。

・・・・・・
ただ、メイショウサムソンの勝ちに漂うムードが、
どうにも違和感ありありな雰囲気を醸し出しているように思えたので、
この続きは明日に引っ張ることにする。