見据えるは遥か先。
ロンシャンで激突する世界の強豪、
そして生涯唯一の黒星を喫した因縁の相手・・
宝塚記念は凱旋門賞制覇を目指すディープインパクトの壮行戦。
春の天皇賞で完膚なきまでに叩きのめした相手との再戦が待っているとあっては、
もはや勝ったも同然。
「競馬に絶対はない」という格言を、
我々ファンはこれまでの経験で痛いほど味わっているが、
今回ばかりは・・いやディープインパクトに限っては「今回も」と言うべきか、
絶対という不変の真理がそこに存在している気がする。

===
■宝塚記念はディープインパクトの滑走路・・他の見どころ模索中。
待ち受ける結果はもはや変えられそうにもないし、変わってほしくもない。
では、私たちは「衝撃一色」の宝塚記念に何を求めればいいのだろうか?
リンカーンの抵抗か?
3200mの天皇賞でさえ決定的な敗戦を喫した後に、果たして何が残っているのか。
ダイワメジャーら安田記念組の新味に期待するのか?
実績のない距離でディープインパクトを相手に何ができようものか。

焦点はもはや一つしかない。
それは「北の英雄」コスモバルクが本来の力を出した時に、
どれだけ通用することができるのか。
低迷を続けた昨年はまさに地獄のような1年間だった。
復活の兆しを見せた有馬記念以外は、何の見せ場もないレースが続いた。
今年初戦の日経賞も8着と大敗。
かつて競馬ファンの心をわしづかみにした地方の星に、
いよいよ「終わり」のレッテルが貼られようとしていたところだった。
飛び込んできたのは海外からのビッグニュース。
シンガポール航空国際Cで悲願のGI制覇、
しかもそれを海外で達成という大快挙を成し遂げた。

超安値で取引された雑草が中央遠征で快進撃を見せ、
一度は大スランプに陥りながらもGIのタイトルを獲得。
既成概念や常識を打ち破る、
人知を超えた爆発力が備わっていることを、
コスモバルクの歩んできた道が示している。
今回は遠征先での検疫に手間取り、帰国が予定より遅れるアクシデントが発生。
また、依然として成績にムラが残るのは事実である。
もしかしたら、また気の抜けたような大敗をぶちかますかもしれない。
ちゃんと走ったとしても、ディープインパクトにはかなわないかもしれない。
だけど、何かを起こしてくれそうな、
そんな期待を持たせてくれるのはコスモバルクだけではないか。

アベレージは低くても、ワクワクさせてくれる「北海道のヒーロー」。
完全無欠のディープインパクトがイチローだとしたら、
コスモバルクはまさに新庄剛志。
残してきた記録は到底かなわない。
しかし、先に海外の舞台で名を馳せたのはコスモバルク。
それは紛れのない事実である。
そういえば、先にワールドシリーズの舞台に立ったのも新庄だった。
勝てとは言わない。せめて目立ってくれ、新庄コスモバルク!!

≪宝塚記念 主な出走予定馬&騎乗予定騎手≫
アイポッパー―――――藤田伸二
カンパニー――――――福永祐一
コスモバルク―――――五十嵐冬樹
ダイワメジャー――――四位洋文
ディープインパクト――武豊
リンカーン――――――横山典弘
※斤量は全馬58キロ