何となく予感はあったのだが、まさかこれほどまでとは・・
GI馬の相次ぐ引退に伴い、
主役不在が囁かれていた今年のスプリント路線。
前哨戦の阪急杯、オーシャンSを単勝2ケタ人気の馬が勝ったことで、
その勢力図はますます混迷を極めることとなった。
誰が勝ってもおかしくない。
ほんのちょっとした展開、枠順の有利不利が勝敗を分かつ。
紙一重の差を争う高松宮記念になりそうだ。
===
中京1200mということを考えれば、
本来ならシーイズトウショウにGI制覇の最大のチャンスが訪れたと見ていいはずだった。
しかし休み明けだったオーシャンSで、
長距離輸送の影響か馬体を18キロ減らしてしまい9着と大敗。
最終追い切りもやや加減されるそうで、臨戦過程に大きな不安を残すこととなった。
昨年のスプリンターズSで4着に健闘したマルカキセキも、
同じくオーシャンSがマイナス18キロ。
渋った馬場も合わなかったようで見せ場なく敗れたが、
実績の乏しい中京でどこまで巻き返して来られるか。

一応、人気の中心となるのはシンボリグラン
短距離では安定感抜群で、
昨年の暮れにはCBC賞を制し新スプリント王に名乗りを上げた。
前走オーシャンSは3着に敗れたが、スタートでの出遅れが堪えたもの。
内有利の馬場コンディションでラチ沿いをすくってきたとはいえ、
スタートのロスは致命傷。4角最後方からよく追い上げてきた。
鞍上のM.デムーロにとっても、不振を脱却するためには重要な一戦。

===
何しろG2を1つ勝っただけの馬が中心を担おうという戦況。
それだけに、歴戦のベテランたちがチャンスを生かそうと虎視眈々だ。
ギャラントアローは今年よりはるかにメンバーの揃った一昨年で僅差4着。
気まぐれなのは今も変わらないが、
ツボにはまれば驚異的な粘り腰を発揮する。
どうやら今回は最終追い切りをかけずに、
「走りたい」という気持ちをレースまで温存させるという奇策に出るようだが・・
一昨年3着、昨年2着のキーンランドスワンはレース相性がいい。
ただ、この2年は春先に調子を上げてきたものだったが、
今年は3走連続2ケタ着順から臨むだけに、激変を期待するのは酷か。
とはいえ、GIの激しい流れでこそ切れ味を活かせる馬であることは忘れたくない。

芝ダートを問わず安定した走りを見せるコパノフウジン
良馬場前提でも切れる脚を使うタマモホットプレイ
初めての6F戦で新味が出そうなオレハマッテルゼあたりも、
「このメンバーなら」と色気を持って臨むことになるだろう。

===
そんな状況を見かねたのか、「女王」が重い腰を上げた。
昨年の桜花賞・NHKマイルCの変則二冠を達成したラインクラフトが、
陣営の慎重な判断の結果、出走を決定。
当初は2週間後の阪神牝馬Sでの復帰を予定していたが、
前倒しで今季初戦を迎えることとなった。
栗東に帰厩したのが3月8日。
中間の調教がわずか2週間という過程で、どこまで状態が整っているか。
急仕上げで臨む女王が、乱世を平定させるか・・焦点はそこだ。

===
高松宮記念 主な出走予定馬
オレハマッテルゼ―――57柴田善臣
ギャラントアロー―――57幸英明
キーンランドスワン――57四位洋文
コパノフウジン――――57佐藤哲三
シンボリグラン――――57M.デムーロ
シーイズトウショウ――55池添謙一
タマモホットプレイ――57渡辺薫彦
マルカキセキ―――――57吉田稔
ラインクラフト――――55福永祐一